Mikako Hayashi-Husel
2020年10月22日3 分
ドイツ語ネイティブとの会話で、「言いたいことが言えない」というフラストレーションを抱えていませんか?こういうときにどう言ったらいいのか、知りたいドイツ語の表現はありますか?そのようにFacebookのドイツ語グループに問いかけて質疑応答した中から、今回取り上げるのは、「自分のことは棚に上げて」です。
「自分のことは棚に上げて」というような文脈で使えるドイツ語フレーズを5つご紹介します。日本語では「自分のことを見ずに人のことを批判する」という事実を指摘しているだけですが、ドイツ語では、どの表現も自省を促すものです。
これは duzen する間柄の相手に、「自分を見てみろよ」と言うものです。
基本的には、格好や髪形、顔の造形や体のスタイルなど外見的なものを指します。
「そのなりで何言ってるの?」みたいなニュアンスに近いかもしれません。
これも自省を促す慣用句です。
字義通りには「自分の鼻を掴む」という意味です。
duzen する間柄の相手には、
Fass dir mal an die eigene Nase!
のように mal を入れることが多いです。「ちょっと自分の鼻を掴んでみれば」という感じです。
この「自分の鼻を掴む」というのは、ノルマン人の刑罰の一種で、誰かを不当に侮辱した場合、公に侮辱発言を取り下げ、自分の鼻を掴んだことから来ています。
現在では、不当な侮辱というよりは、自分のことを棚に上げて人を批判することに対して、反省を促すニュアンスで使われます。
「人のことばっかり言ってないで、自分のことを反省しろ」ということですね。
三人称を主語にすると、
Er soll sich doch an die eigene Nase fassen, bevor er so was sagt.
のような感じになります。
字義通りには「鏡を見る」ですが、必ずしも外見上のことを言っているわけではなく、行動や内面的なことも含めて自省することを指しています。
二人称では、
Guck mal in den Spiegel!
3人称では、
Er soll mal in den Spiegel gucken!
のようになります。
これは言葉通り「自己批判的である」ことを意味します。1~3の表現よりもやや硬い言い方です。
Was erlaubst du dir denn zu sagen? Du solltest besser mal selbstkritisch sein.
(よくそんなこと言えるね。ちょっと自己批判的になった方がいいんじゃないの。)
これは「自己批判を行う」ことを意味します。口語で使われることはあまりありません。スピーチや心理学などで使われることが多い表現です。
とはいえ、「彼は、他人のことを批判する前に自己批判をすべきだ」つまり「自分のことを棚に上げて他人を批判すべきではない」という意味で、
Er sollte doch Selbstkritik ausüben, bevor er jemand anderen kritisiert.
と言うことができます。
動画版はこちら。