「マンスプレイニング」(mansplaining)は、男を意味する「man」(マン)と解説を意味する「explain」(エクスプレイン)をかけ合わせたかばん語(Portmanteauwort)で、男性の持つ「女性は自分より知らない・わかっていない」という前提の根拠が差別意識にすぎないことを指摘するものですが、一般的には「男性が、女性を見下す、あるいは偉そうな感じで何かを解説すること」とされます。
私の経験からすると、無知あるいは大して知識のない男性ほどこういうのをやる傾向が強いのではないかと思います。よく知りもしないのに、生半可な知識で何かアドバイスをしようとするんですね。こちらがそれを求めていないことも察せずに、頼みもしないのにいろいろとお節介なことを言ってきて、ウザい人たち。
でも、教養のある人であれば、まず私に「こういうのは知ってる?」「これこれは聞いたことある?」という質問をして、私に知識があるかどうかを確認してから解説を始める、または解説をしない選択をすることが多い印象があります。女性の皆さんは、どんな経験をされましたか?
「マンスプレイニング」は、ドイツ語でも英語のまま Mansplaining が使用されることもありますが、レベッカ・ソルニットの著作「Men Explain Things to Me」のドイツ語訳「Wenn Männer mir die Welt erklären(男たちが私に世界・ものごとを解説するとき)」では、männerklären(動詞)、Männerklärung(名詞)という用語が使われています。mansplainy に相当する *männerklärerisch のような形容詞はないようですが。
こうした男性の行動の根底には女性蔑視 die Misogynie があり、女性差別 die Diskriminierung von Frauen / Frauendiskriminierung の一種です。 このため、コミュニケーションにおいて男女間の力の不均衡 die Machtasymmetrie in der Kommunikation が生じるわけです。
男性がやたらと知ったかぶりして説明したがるという行動の他に、コミュニケーションにおけるよく知られた男女差として、相手の発言を中断して unterbrechen 自分の発言を割り込ませる jemandem ins Wort fallen 頻度が挙げられます。つまり、男性は女性の言うことを最後まで聞いてくれないんですね。途中で話を止めさせて、自分の意見を開陳し、往々にして、それによって女性を黙らせてしまうことが、その逆のケースよりも圧倒的に多いわけです。どうですか?女性の皆さん「あるある」って思いませんか(笑)この現象は、manterupting または manteruption と呼ばれます。男を意味する「man」と中断を意味する「interupt」の組み合わせです。ドイツ語では *manterbrechen と言えそうですが、そういう例はネット検索した限りではなく、*männerbrechen で検索をすると、「Männer brechen ... ein(男性らが…に押し入る)」などという犯罪記事しかヒットしません。この現象に関しては英語がそのまま使われているようですね。例えばこちらの記事。
もちろん、この「中断」行動に関しては本当に性差に基づくものなのか、ただの力関係の結果であるのか疑問の余地がありますが。つまり、男性同士でも力関係が不均衡である場合や、どちらが上か競い合っているような場合に中断行動が起こるので、必ずしも女性蔑視ではないという見方です。それでも、中断行動自体は男性的と言えます。女性の場合は相手が男性であれ同性であれ、中断せずに話し終わるまで聞いていることの方が多い傾向があります。もちろん、男性にも女性にも一般的傾向から外れる例外はいくらでもいますが、こういう場合は、Die Ausnahmen bestätigen die Regel/Die Ausnahme bestätigt die Regel(例外が規則の正しさを証明する)と言えそうです。
さて、話の途中で中断されてしまった時にどうすればいいのか、その対処法ですが、一番頻繁に使われるのは、中断そのものを中断させることですね。次のようなフレーズでそれができます。
Lass mich doch bitte ausreden! / Lassen Sie mich doch bitte ausreden!
Würdest (Könntest) mich bitte ausreden lassen? / Würden (Könnten) Sie mich bitte ausreden lassen?
ausreden 「最後まで話す」がキーワードです。
zu Ende sagen / reden と言うこともできます。
動画版はこちら。
サイト会員になると無料メルマガ「Mikakoのドイツ語通信」とブログの更新情報の通知をお受け取りになれます。ぜひご登録ください!
Commenti