ドイツ語の母音~ウムラウトだけが問題じゃない

最終更新: 6月1日

ドイツ語の母音というと、英語にない字母であるウムラウトがなにかと取り沙汰されますが、発音の問題という観点から見ると、ドイツ語の母音の多くが日本語とも英語とも違っているので、質の違いに気を付けて一つ一つ丁寧に学んで練習することをお勧めします。

私は、個人的には日本の大学で第二外国語としてドイツ語を選択し、ドイツ人ではなく日本人の先生に教わったため、残念ながら発音はおざなりになってしまい、ドイツに来てから発音矯正や聞き取りトレーニングをする羽目になりました。最初から発音やっていれば、ごく簡単なやり取りくらいはドイツに来た当初からできたのではないかと悔しい思いをしたものです。まだドイツ語を始めて間もないという皆さんには、ぜひとも私のような二度手間の苦労はしないで済むように、発音の大切さを知っていただきたいと思います。


正確な発音が重要な理由

巷には、ドイツ語は「スペルと発音がほぼ規則的だから簡単」ですとか、「カタカナ読みで大丈夫」などという説が溢れています。それが完全に間違っているというつもりはありませんが、正確な発音を初めからマスターすることには次の利点があります。

  1. 発音の悪さは相手に不快感を与え、理解するための集中力を強要することになり、相手の好意に甘えています。つまり、相手が好意的でなければ相手にしてもらえない、無視される、通じないなどの問題が生じます。発音が正確であればそのようなことは起こりません。

  2. 発音の正確さで一人前に見て貰えます。

  3. 相手に余計な集中力をかけないので普通のドイツ語ネイティブと同じように対応してもらえます。

  4. 結果、コミュニケーションが円滑になり、発音の悪さによる誤解を回避できます。

  5. 聞き取り能力も同時にアップします。

  6. 最初にカタカナ的発音で覚えると、聞き取りできるようになるまで時間がかかり、発音矯正や聞き取りトレーニングが二度手間になります。最初から正しい発音を学んでいれば、結局のところ時間の節約になります。



ドイツ語の母音の種類

下の図は国際音声記号の母音表をもとに、ドイツ語の母音と日本語の母音のみを抜き出して私が作成したものです。それぞれの母音の発音は、舌の位置(前中後)、口の開き具合(狭い広い)および口の丸め具合(円唇性)によって特徴づけられます。舌の位置(前中後)と口の開き具合(狭い広い)を座標としてそれぞれの母音を位置付けたものが下の母音表です。日本語のみに存在する母音は、ドイツ語のみに存在する母音は紺色、両言語に共通する母音はでマークしてあります。

日本語とドイツ語に共通する母音は「あ」と「い」(ドイツ語の短い「i」に相当)のみで、日本語の「う、え、お」はドイツ語には存在していません。そしてドイツ語には日本語に存在しない母音が12個もあります。

つまり、日本語のカタカナでは、ドイツ語の母音が「ア」と「イ」以外はまったく書き表せていないわけです。このため、カタカナ的発音で話すドイツ語はひどい日本語訛りであり、通じにくかったり、ものによってはまったく通じないこともあります。

だからこそ正確な発音をマスターする必要があるのですが、母音表だけではまだ抽象的ですし、かといって、日本語にない音を聞いただけでは違いが分からなかったり、違いが分かるにしてもそれをどう真似していいのかよく分からないということがあるかと思います。その発音の具体的な方法について次に解説していきます。


発音方法

狭母音前舌非円唇 [i:]

これは長音の「i」です。日本語の「イ」よりもずっと口を両端に広げて、緊張感を持たせて発音します。

例: Igel, Ihre; bieten


狭母音ほぼ前舌非円唇 [ɪ]

これは短音の「i」です。日本語の「イ」と同じです。

例:in, innen, bitten


狭母音後舌円唇 [u:]

これは長音の「u」です。日本語の「ウ」は唇を丸めないため、ドイツ語ネイティブには「ウ」が「u」と認識されないことが多