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ドイツ語の語順 基礎から誰も教えてくれないところまで

ドイツ語の語順の基本は英語などと同様、主語(S=Subjekt)+動詞(V=Verb)+目的語(O=Objekt)ですが、その他さまざまな規則がありますので、以下に見ていきましょう。


  1. Hauptsatz 主文の動詞の位置

  2. Nebensatz 副文の動詞の位置

  3. 副詞・副詞句の順序

  4. テキストにおける語順


1と2は多くの文法書に載っているドイツ語統語法の基礎ですが、3の一般規則に言及している文法書は日本ではほぼ皆無で、4に至っては文の単位を扱う文法書の範囲を超えてしまうため、ドイツ語で書かれた文法書でもまず扱われません。


Hauptsatz 主文の動詞の位置

主文とは、従属接続詞などに導かれていない地の文を指します。

主文において押さえておかなければならない最重要規則は、人称変化した動詞(V)または助動詞が常に第二位置に来るということです。

例:

Die Firma liefert dem Kunden die Ware.

S V Dativ-O Akkusativ-O

その会社は顧客に商品を届ける


ここで注意が必要なのは、第二位置に来るのはあくまでも人称変化した動詞形のみで、分離動詞の接頭辞や動詞の過去分詞は文末に来るということです。


例:

Die Firma hat dem Kunden die Ware geliefert.

その会社は顧客に商品を届けた


Die Firma lehnt die Warenlieferung ab.

その会社は商品の配送を拒否する


第二位置の動詞と文末の分離動詞の接頭辞または動詞の過去分詞は、文頭に何が来ても変わりません。このため、目的語や時・場所などを表す副詞が文頭にある場合、主語は動詞の後の第三位置に移動します。

例:

Dem Kunden hat die Firma die Ware geliefert.

顧客にその会社は商品を届けた


Gestern hat die Firma dem Kunden die Ware geliefert. 

昨日その会社は顧客に商品を届けた


Die Warenlieferung lehnt die Firma ab.

商品の配送はその会社は拒否する

主文とはいえ、動詞が文頭に来る場合があります。それは疑問文か条件文である場合です。


例:

Liefert die Firma heute die Ware?

その会社は今日商品を届けますか?

Liefert die Frima heute die Ware nicht, so werde ich mich beschweren.

その会社が今日商品を届けないのであれば、苦情を言うつもりです。


疑問文で動詞が文頭に来ることはよく知られているのに対して、falls や wenn のない条件文で動詞が文頭に来ることはあまり知られていません。しかし、falls / wenn を伴う副文よりも短いため、かなり頻繁に使用されます。


動詞が倒置された条件文は文頭に来るとは限らず、後ろに来ることもあります。


例:

Ich melde dich bei dir, sollte sich etwas ändern.

万が一変更がある場合は連絡するね。


Ich hätte mir die ganze Mühe sparen können, hätte ich das vorher gewusst.

前もってそれを知っていたら、こんな苦労はしなくて済んだのに。


この場合は主文と言うよりは隠れた副文と言えます。

Nebensatz 副文の動詞の位置

副文とは、関係代名詞や従属接続詞などに導かれ、何らかの形で内容的に主文に依存する不完全な文です。

副文においては、主文とは違って人称変化した動詞が副文の最後の位置を占めます。


例:

Wenn der Wecker morgen früh um 7 Uhr klingelt, muss ich sofort aufstehen.

目覚まし時計が早朝7時に鳴ったすぐに起きなくてはならない。


Als er das Feuer bemerkte, rannte er sofort aus dem Haus.

火事に気が付く、彼はすぐに家から飛び出していった。


Da auch die Züge nicht verkehrten, konnten wir an der Konferenz nicht teilnehmen.

列車が運行していなかったため、私たちは会議に参加できませんでした。


Falls sich etwas ändern sollte, melde ich mich bei dir.

万が一変更がある場合は連絡するね。


Wenn ich das vorher gewusst hätte, hätte ich mir die ganze Mühe sparen können.

前もってそれを知っていたら、こんな苦労はしなくて済んだのに。


基本的に、文末に移動するのは人称変化した動詞だけです(Ich hätte das vorher gewusst. --> Wenn ich das vorher gewusst hätte.)が、人称代名詞・再帰代名詞の与格と対格(mir/mich, dir/dich, sich, uns, euch, sich)は副文において主語の前に置かれることがあります。


例:

Etwas sollte sich ändern. --> Falls sich etwas ändern sollte.


ただし、主語が人称代名詞(ich , du, er, sie, es, wir, ihr, sie) である場合はこの限りではありません。

再帰代名詞の位置については動詞の位置ほど重要ではないので、とりあえず頭の隅にでもとどめておいてください。


副詞・副詞句の順序


文は時に主語・動詞・目的語の他に多くの補足情報が加えられます。一般に「副詞」と呼ばれますが、一語とは限らず、前置詞などを伴う副詞句である場合も多いです。

副詞・副詞句には一般に4種類に分類されます。

  1. 時(temporal)-「wann? いつ?」に対する答え

  2. 理由(kausal)-「warum? なぜ?」に対する答え

  3. 様式・方法(modal)-「wie? どのように?」に対する答え

  4. 場所(lokal)-「wo? wohin? どこ?どこへ?」に対する答え

文中ではこの順番で副詞・副詞句が並べられることが一般的です。


例:

Sie ging heute (1) wegen der Prüfung (2) mit Herzklopfen (3) zur Schule (4).

彼女は今日 (1)、試験のため (2) ドキドキしながら (3) 学校へ (4) 行った。

この語順規則をそれぞれの副詞タイプの名称の頭文字を取って、「TeKaMoLo-Regel」と呼びます。

これはあくまでも一般的な傾向であるため、この通りの順序でなくても間違いというわけではありません。


テキストにおける語順

文は通常一文一文独立しているわけではなく、いくつもの文が組み合わされるなどして一つの文脈を形成します。そうした文のまとまりをテキストと言います。

まとまりのあるテキストを形成するには、文と文の論理的なつながりが必要で、このために様々な接続詞を使います。

しかし、これだけに留まらず、接続詞があってもなくても語順も変化させていく必要があります。


まず、接続詞がある場合ですが、いわゆる並列接続詞と呼ばれるタイプは「Position Null(ゼロ位置)」を占めるとされ、このため、主語と動詞の位置を逆転する必要がありません。

このタイプの接続詞は und, aber, denn, oder, sondern だけです。(doch はこれに準じる場合も)


例:

Die Eltern wollen nach Italien fahren und (0) die Tante (1) soll (2) für die Kinder sorgen.

両親はイタリアに行きたがっており、(そして)叔母が子どもたちの世話をすることになっている。


Die Eltern fahren nach Italien, aber (0) die Kinder (1) bleiben (2) zu Hause.

両親はイタリアへ行くが、子どもたちは家に留まる。


Die Eltern können nicht verreisen, denn (0) die Tante (1) ist krank geworden.

両親は旅行に出かけられない。というのは、叔母が病気になったからだ。


上述以外の接続詞が「Position I(第一位置)」を占める場合は、動詞が第二位置に来なくてはならないことから主語と動詞の順番が逆転します。


例:

Er will umziehen, darum (1) hat (2) er seine Wohnung gekündigt.

彼は引っ越したいため、アパートを解約した。


Ich schulde dir zwar 30 Euro, aber du schuldest mir noch 20 Euro, folglich (1) gebe (2) ich dir nur 10 Euro zurück.

私は君に30€借りているが、君は私にまだ20€の借りがある。だから10€だけ返すよ。


Er hatte sich sehr beeilt, trotzdem (1) kam (2) er (3) zu spät.

彼はとても急いだが、それでも遅刻した。

Wir waren gerade aus dem Bus gestiegen, da (1) begann (2) es (3) plötzlich heftig zu regnen.

私たちがバスから降りたちょうどその時に突然激しい雨が降り始めた。


Sie hatte nur eine kleine Bemerkung gemacht, daraufhin (1) wurde (2) er (3) sofort wütend.

彼女はちょっとしたコメントをしただけなのに、彼はその後すぐに激怒した。


そうした接続詞が第一位置(文頭)に来ない場合は、主語と動詞および間接または直接目的語としての人称代名詞の後に来ます。


例:

Er will umziehen, er (1) hat (2) darum (3) seine Wohnung gekündigt.


Ich schulde dir zwar 30 Euro, aber du schuldest mir noch 20 Euro, ich (1) gebe (2) dir (3) folglich (4) nur 10 Euro zurück.

Er hatte sich sehr beeilt, er (1) kam (2) trotzdem (3) zu spät.


Wir waren gerade aus dem Bus gestiegen, es (1) begann (2) da (3) plötzlich heftig zu regnen.


Sie hatte nur eine kleine Bemerkung gemacht, er (1) wurde (2) daraufhin (3) sofort wütend.


基本的に、第一位置にあるものは文中にあるものよりも強調されます。


では、このように接続詞または接続副詞のようなものが文頭にない場合は、何が文頭に来るのでしょうか?

常に主語で始まる文が続くのは、場合によっては文章の流れが悪く、不自然になります。この不自然さがどこにあるかと言うと、ドイツ語では一般的な傾向として、既述のものや既知のものがトピックとして文頭に置かれ、新規の情報がその後に来るからです。

gestern, heute などの時を表す副詞や、da, hier などの場所の副詞がよく文頭に来るのは、これらの情報がたいていの場合「既知」のものであるからです。


例:

Gestern hat sich ein schwerer Unfall ereignet.

昨日は、大きな事故があった。


もちろん、出来事の方が既知・既述で、「それが起こったのはいつ・どこなのか」が新規の情報である場合は、「いつ・どこ」の答えである gestern, heute, da, hier などが後置されます。


例:

Der schwere Unfall hat sich gestern ereignet.

その大きな事故が起こったのは昨日だ。(その大きな事故は昨日起こった)


例文の日本語訳でお分かりのように、「~は」で表されるトピックは日本語でも文頭に来ます。

ドイツ語学習者がドイツ語作文をする際には、一文一文を正しく書くことに気を取られ、文章全体としてのつながりを考慮する余裕がないことがほとんどですが、B2レベルから上ではこうした文と文のつながりと論理性がより重視されるようになります。

このため、作文を書いたら、最後の見直しとして「既知ー>未知・新情報」や「既述ー>初出」の観点から語順を検討する習慣をつけるようにしましょう。

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