ドイツ語試験各種(Goethe C1/C2, telc C1 Hochschule, TestDaF, DSH)の違い
ドイツの大学に入学するためには高いドイツ語能力を証明する必要があります。そのためのドイツ語試験には Goethe C1/C2、telc C1 Hochschule、TestDaF、DSHの5種類があります。
以下でこの5種類の試験の特徴を簡単にご紹介します。
Goethe C1
Goethe Institut で実施される C1レベルの試験です。
大学や学科によってはドイツ語能力の証明として認められない場合があります。
受験料:270€
海外のテストセンター:受験可能
所要時間:トータル205分(読むー3問70分、聞くー2問40分、書くー2問80分、話す(ペア)ー2問各15分)
言語:一般的
持ち込み可能な参考資料:辞書などの使用は認められていません。
有効期間:無期限
受験回数:制限なし
合格得点:60%
試験デザイン:一律
実施日:各地で異なる
モジュール式:なし
詳細:https://www.goethe.de/de/spr/kup/prf/prf/gc1/inf.html
Goethe C2
Goethe Institut で実施される C2レベルの試験です。
全大学・全学科でドイツ語能力の証明として認められます。
受験料:295€
海外のテストセンター:受験可能
所要時間:トータル210分(読むー4問80分、聞くー3問35分、書くー2問80分、話す(個別)ー2問各15分)
言語:一般的
持ち込み可能な参考資料:辞書などの使用は認められていません。
有効期間:無期限
受験回数:制限なし
合格得点:60%
試験デザイン:一律
実施日:各地で異なる
モジュール式:あり
詳細:https://www.goethe.de/de/spr/kup/prf/prf/gc2/inf.html
特記:大学に限らず、あらゆる機関・企業で最も認知度の高い試験です。
telc C1 Hochschule
telc のテストセンターで実施される C1レベルの試験です。
全大学・全学科でドイツ語能力の証明として認められます。
海外のテストセンター:受験可能
所要時間:トータル195分(読むー3問90分、聞くー3問40分、書くー1問70分、話す(ペア/グループ)ー3問16分ないし24分)
言語:一般的~学術的
持ち込み可能な参考資料:辞書などの使用は認められていません。
有効期間:無期限
受験回数:制限なし
合格得点:60%
試験デザイン:一律
実施日:各地で異なる
モジュール式:なし
特記:穴埋め問題のような文法知識を問う設問があります。
TestDaF
TestDaF Institut で実施される試験です。DaFは Deutsch als Fremdsprache(外国語としてのドイツ語)の略です。得点によって TDN3~5の3段階に振り分けられ、TDN4または5であれば全大学・全学科でドイツ語能力の証明として認められます。

海外のテストセンター:受験可能
所要時間:トータル195分(読むー3問70分、聞くー3問40分、書くー1問70分、話すー7問15分)
言語:学術的
持ち込み可能な参考資料:辞書などの使用は認められていません。
有効期間:無期限
受験回数:制限なし
合格得点:TDN4
試験デザイン:一律
実施日:年6回、世界共通(ただし、中国は年3回のみ)
モジュール式:なし
詳細:https://www.testdaf.de/de/teilnehmende/mein-testdaf/mit-dem-testdaf-an-eine-deutsche-hochschule/
特記:試験にはデジタル版とペーパー版があります。口述試験はコンピューターとヘッドセットを使って実施されます。試験官ではなく機械と話すことになるため、やりにくいと感じる人が多いようです。
DSH
DSH とは、Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang の略で、各大学で実施されます。全国共通の基準があるとはいえ、大学独自の試験デザインであるため、合格証明が他大学では認められない場合があります。Stuttgart 大学では DSH 証明書を認めていません。
TestDaF 同様、得点によって DSH-1~DSH-3の3段階に振り分けられます。
DSH-1:57~67%
DSH-2:67~81%
DSH-3: >82%
受験料は70~150€程度で、他のドイツ語試験に比べてリーズナブル。
海外のテストセンター:なし。姉妹大学があれば、そこで受験可能。
所要時間:トータル230分(読むー1問60分、書くー1問70分、聞くー1問80分、話すー1問20分)
言語:学術的
持ち込み可能な参考資料:独独辞典の使用可
有効期間:無期限
受験回数:制限なし(大学によっては1~2回の制限を設けているところもあり)
合格得点:DSH-2(技術系学科では DSH-1 でも合格の場合があります。医学部・法学部では DSH-3 が必要な場合があります)
試験デザイン:各大学によって異なる
実施日:年1~2回、夏学期・冬学期開始前
モジュール式:なし
詳細:http://dsh.de/ + 各大学のホームページ
特記:1次試験は筆記のみで、それに合格した場合のみ口述の2次試験を受験できます。大学で必要とされるドイツ語能力(長時間の講義を理解する、レポートや論文を書く、ゼミなどで議論する)に特化した試験。
まとめ
Goethe Zertifikat 以外の試験はすべて大学進学向けの試験で、学術的傾向が強くなります。どの試験がいいとか悪いとかいうことはありません。実施日の都合や試験の特徴によって個々人でどの試験を目指すか決めるべきでしょう。
それぞれの試験のための準備コースがありますので、そうしたコースを受講するのが王道といえますが、参考書や模擬試験で独学しても構わないと思います。ただし、独学の場合は話す機会がどうしても少なくなってしまいますので、その欠点を補う対策を意識的に講じる必要があります。
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