ドイツ語は日本語の中に外来語として入っている単語があるにはありますが、英語ほどなじみのある単語はほとんどありません。
しかも、名詞に男性・女性・中性という3つの性があり、覚えづらく難しいと感じている人が多いのではないでしょうか。
そういう方のためにここではまず、どこから始めたらいいのか、暗記の仕方、名詞や動詞を覚える際の注意点、そして、語彙の増やし方をご紹介したいと思います。
どこから始める?
まずは身近なところから始めてください。自分の日常生活の動作、日常生活で触れるものすべてをドイツ語で説明できるようにすることを目指します。
たとえば、朝起きるところから始めるとして、寝室 das Schlafzimmer、ベッド das Bett、マットレス die Matratze、掛け布団/毛布 die Decke、パジャマ das Pyjama/der Schlafanzug、起きる aufstehen、服を着る sich anziehen 等々、目につくもの、思いつく限りの動作のドイツ語を調べていきます。
次は、好きなもの、興味のあるもののドイツ語を調べて、自分の趣味は何か、自分が何を好きかをドイツ語で語れるようにすることを目指します。趣味は人それぞれですので、個人のお好みで勉強を進めてください。
その次に、何か特に「これだけはだめ」みたいな、嫌いなもの、苦手なものがあれば、そのドイツ語を調べて、自分が何が嫌いか、なぜ嫌いかまたは苦手かをドイツ語で語れるようにすることを目指します。
そこまでくれば、ドイツ語で自己紹介するときに言える内容もかなりの量になり、初級A2はクリアできることでしょう。
暗記方法
暗記方法は人それぞれ合ったものを模索していくしかないと思いますが、「身近なもの」であれば、そのモノにそれぞれのドイツ語名称を書いたポーストイットを貼り付けておいて、モノを見るたびにドイツ語の単語も見て、少なくとも一度は自分でつぶやくという方法がいいかもしれません。見えるモノとその名称のつながりがこうして強化されます。
昔ながらの単語カードや単語帳を作るのも、そういうのが好きだという方はすればいいと思います。
もうちょっと現代的な方法と言えば、AnkiWeb というアプリが挙げられます。単語カードのように「表=問題」、「裏=回答」という形でカードを作成し、学習ができます。このアプリには、まだ短期記憶にしかなっていない単語は出題頻度が高く、長期記憶化した単語は頻度が低くなるよう設定されています。
例えば、ある単語を「易しい」と回答すると、その単語は3日後に問題として再び出題されます。しかし、「難しい」と回答をすると、翌日に再び出題されます。
この難易度の取捨選択を通じて、なかなか記憶に定着しない単語は、毎日出題され、長期記憶された単語は、「半年後」や「1年後」に出題されることになります。
これによって、単語カードや単語帳使用時によくある、すでに定着済みの単語を毎日見る必要がなくなります。覚えていない単語だけの学習に特化できるので極めて効果的です。
登録単語数、新単語数、正解率、復習率など学習成果をすべて数値化・可視化できるので、継続学習の大きい動機になるでしょう。
名詞を覚えるときの注意点
名詞を覚えるときは必ず定冠詞 der/die/das を付けて覚えるようにしてください。間違っても日本で出版されているドイツ語関係の書籍にあるように名詞の性をカッコで後付けする形(例: Löffel【男】)で暗記しようとしないでください。なぜこれがダメかというと、特に会話の際に瞬発力が発揮できないからです。最初から定冠詞と一緒に der Löffel と覚えておけば、その単語を言おうとしたときに男性だったか女性だったか迷う必要はなく、そのまま Der Löffel ist schmutzig. のように打ち出せます。
会話の場合、瞬発力がすべてと言っても過言ではありません。私自身は、最初 Löffel【男】のような覚え方をしていたので、なかなか名詞の性が覚えられず、発言の際にそれでつっかえるという愚を犯していました。
会話で使いやすくするには、やはり単数形だけでなく複数形も一緒に覚えた方がいいです。また、欲を出せば、その単語を使った典型的なフレーズ(例: mit dem Löffel essen)も一緒に記憶するとより実践的になります。
動詞を覚えるときの注意点
動詞を覚えるときは、人称変化に慣れるまでは必ず現在形の人称変化と過去形プラス現在完了形を一緒に覚えます。
例:
essen 食べる - ich esse, du isst, er isst, wir essen, ihr esst, sie essen; ich aß / wir aßen; ich habe gegessen
laufen 走る、歩く - ich laufe, du läufst, er läuft, wir laufen, ihr lauft, sie laufen; ich lief / wir liefen; ich bin gelaufen
会話で使いやすくするには、やはりその単語を使った典型的なフレーズ(例: mit dem Löffel essen)も一緒に記憶するといいです。
語彙の増やし方
語彙は、ドイツ語では der Wortschatz と言います。字義通りには「言葉の宝」を意味します。私はこちらの言葉の方が、ラテン語系の das Vokabular(英語の vocabulary に相当)よりも素敵だと思っています。
ある言語をどれだけ使いこなせるか、その決め手となるのが語彙であり、表現の源なのですから、まさに言葉の「お宝」だと思いませんか。
個々の単語を習い覚えることを Vokabeln lernen(die Vokabel/die Vokabeln)と言います。
Vokabeln lernen をランダムにやるのはあまり効率的ではありません。上述の「どこから始めるか」でご紹介したように特定の分野で使われる単語をまとめて覚えるというのは効率的な語彙の増やし方のひとつです。
この他に4つ方法があります。
反義語(Antonyme):反対の意味の言葉を一緒に覚える(groß - klein, hoch - tief, öffnen - schließen)
同義語(Synonyme):同じ意味の言葉を一緒に覚える(öffnen - aufmachen, schließen - zumachen)
類義語:似た意味の言葉を探してニュアンスの違いを検討する(klug, intelligent, intellektuell, wise)
派生語:派生関係にある単語を紐づけて覚える(intelligent - die Intelligenz; schließen - abschließen, anschließen, verschließen, der Schluss)
このようにして単語のネットワークを脳内に構築していくと、紐づけされている分記憶が定着しやすく、上級になると要求される「言い換え能力」も身につけられます。
動画版はこちら。
00:00 前置き
01:35 どこから始めるか?
07:58 暗記方法
14:08 名詞を覚える際の注意点
18:33 動詞を覚える際の注意点
22:34 語彙の増やし方
32:00 まとめ
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