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外国語学習にはネイティブスピーカーの先生が絶対にいいのか?



外国語学習では、やたらと〈母語話者(ネイティブスピーカー)〉が絶対視される傾向にあります。

語学学校の宣伝では、先生がネイティブスピーカーであることを強調しますし、語学レベルの測定でも〈ネイティブレベル〉かどうか、それにどれだけ近づいているかが判定基準となっています。


けれども、〈ネイティブスピーカー〉とは一体誰なのでしょうか? 考えてみたことありますか?

これを今読んでいるあなたはおそらく日本人で、日本語のネイティブスピーカーでしょう。

では、胸に手を当ててよく考えてみてください。あなたは日本語をどのくらいできますか?


通常、ネイティブスピーカーは母語に関して説明できる知識を持っておらず、無意識に母語を使っています。文法など普通は考えませんので、外国人の「これはどうしてこうなるのか?」「これはどんな用法か?」「これは何活用か?」などという質問にまずまともに答えられません。

だからと言って知識を持っていないわけではなく、使えるだけの知識は持っているのです。ただ、説明的知識ではないことが多いだけなのです。


そういうことは言語に限らず他の分野でもたくさんありますよね。

例えば、水洗トイレは日常的にありふれたもので、みんなこれがどんなもので、どういう風に使うかおおよそ知っています。けれども、では、これがどういう原理で動いているのかと問われて、きちんと説明できる人はあまりいません。


これと同じで、母語に関しても、ネイティブスピーカーは使えるけど説明できないことが多いのです。このため、〈外国語としての日本語〉を外国人に教えられるようになるには、改めて日本語の文法やさまざまな用法を説明できるように学ぶ必要があります。それを学んでいなければ、教師として適格とは言えません。

つまり、ネイティブスピーカーであるというだけで、その言語の先生になれると考えるのは間違いも甚だしいのです。


〈ネイティブスピーカー〉と一口に言っても、実は千差万別です。

分かりやすいように日本語の母語話者を例に挙げますが、日本人の日本語能力の個人差はかなり大きいとおもいませんか? 読解力ひとつとっても、小難しい専門書をサクサク読みこなせる人からほんの数行の短い文ですらきちんと理解できない人までいますよね?


それなのになぜ、英語やドイツ語やその他さまざまな言語だと、ネイティブスピーカーならいい先生だと考えてしまうのでしょうか?


ネイティブスピーカーの教師の選び方

もし、体系的にある外国語を学ぼうとするなら、その先生に「ネイティブスピーカーである」という以外の資格を持たない人を選ぶべきではありません。その言語の教師資格を持つ人を選ぶべきです。そうでないと、さまざまな疑問に対する説明がほとんどされないか、間違ったことを教えられるおそれがあるからです。


教師資格を持たないネイティブスピーカーの場合、会話の練習相手としては適しているといえます。ただし、自分の発話が正しいのかどうか訂正してもらえないので確認できないという弊害はあるかもしれません。


作文などの添削をしてもらう場合は、ネイティブスピーカーの学歴や専門分野に注意する必要があります。学歴が低かったり、大卒でも専門が理系・工学系だったりすると、正書法をマスターしていないことがあるからです。


余談ですが、私は20年以上ドイツの会社に勤めていましたが、IT・通信系の企業であったため、自ずと理系の社員が多く、それ以外には経済・経営・経理系の社員がほとんどだったのですが、正書法がダメという方が多かったです。日本人である私が時々彼らの文章を校正してあげたくらいです。

つまり、文章チェックに関しては、文系の高学歴者にお願いしたほうが安心です。


日本人教師の利点

日本人が日本人の教師から外国語を学ぶことには短所もありますが、長所もあります。

例えば、村端五郎・村端佳子氏は『第2言語ユーザのことばと心 マルチコンピテンスからの提言』の中で以下の利点を挙げています(Medgyes, P. (1994) The Non-native Teachers に基づく)。

  1. 外国語ユーザとしての模範的な成功例、ロールモデルを示すことができる

  2. 効果的な勉強の仕方を知っている

  3. 目標言語についての体系的な知識がある

  4. 外国語を学ぶ際、どんなところで躓くかが予測できる

  5. 外国語ユーザーが必要とすることや抱えている問題を理解できる

  6. 外国語ユーザーの母語が理解できる


ただし、日本人の外国語教師は往々にしてレベルが低く、ヨーロッパ共通言語参照枠のレベルで言うとB2~C1 のことが多いのが玉に瑕です。つまり、利点3が十分ではないことがあるわけです。

その点さえクリアしていれば(例えばC2保持者)、ネイティブスピーカーの教師よりも学習効果があると言えます。

というのは、ネイティブの教師の場合、上の1・4・5・6、教師資格がない場合は3においても日本人の外国語教師に劣ることが多いからです。

日本在住のネイティブスピーカーの場合、6はクリアできるかもしれませんが、必ずしも4・5をクリアできるわけではありません。


まとめ

外国語教師は日本人であれ、当該言語のネイティブスピーカーであれ、一長一短あるため、どちらか一方だけが絶対によいということはありません。学びたい目的によってどちらかを選ぶのが良いでしょう。


目的:会話の練習 ⇒ ネイティブスピーカー

目的:文章チェック ⇒ 文系高学歴のネイティブスピーカーまたは日本人のC2保持者

目的:文法、さまざまな用法の理解、日本語との違いの理解 ⇒ 日本人の外国語教師


以上、参考になれば嬉しいです。



私はゲーテインスティテュート認定のドイツ語教師資格とドイツ語C2を持っており、毎週月曜夜(日本時間:火曜朝)に独日二言語でのメルマガを配信しています。お申し込みはこちらから:https://www.mikako-deutschservice.com


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