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執筆者の写真Mikako Hayashi-Husel

日常会話レベルは簡単?

更新日:2021年6月1日

私の主催するFBのドイツ語グループでは参加申請者にどのレベルを目指しているかを質問するように設定してあるのですが、その質問に「日常会話レベル」と答える人が少なくありません。

もっと具体的に「旅行で困らない程度」とか「結婚相手の家族と会話をしたい」という人は明確な目標を持っていると感じられます。この2つの場合、後者の「家族との会話」の方が断然難しいです。

「日常会話」が、例えば買い物ができる、レストランで注文・お勘定ができる、駅や空港でチケットを買ったり荷物を預けたり、ホテルでの一般的なやり取りができるということであれば、確かに初歩的なレベルです。

でも、観光客相手の場所以外のところで普通に買い物をすることがそれほど簡単でないこともあります。どういう場合かというと、相手が標準ドイツ語ではなく、方言またはその訛りのある標準ドイツ語を話す場合、スラングしか話さない場合などです。大したことを言っているわけではないのに、発音や言い回しが標準語とかけ離れているので理解できないのです。

私がまだドイツに来て1・2週間のころ、パン屋でパンをいくつか注文した後(ここまでは順調)にパン屋のおばさんに「ダッ’ヴァーレッ’?」と聞かれて呆然としてしまいました。たまたま隣に立っていた別のお客さんが「War das alles?(それで全部ですか)」と言い直してくれて、助かったとばかりに「Ja, ja!」と答えた経験があります。

後になって、ケルン・ボン地域の方言を Konrad Beikircher というケルン方言をネタにする芸人のテープや本で習って初めてパン屋のおばさんが「Dat war et? = Das war es?」と言っていたことが分かりました。


Konrad Beikircher の動画「Himmel un Äd (=Himmel und Erde)」


ゲーテインスティテュートの集中コース(週5日、1日4時間)に2か月間通って、学校の先生とは何とか会話を交わせるようになったものの、当時入っていた学生寮の管理人のおじさんの言うことは一向に理解できないままで、Guten Tag のあとの話が続かない状態が数か月続きました。😅

また、数か月後に大学に入って講義は一応分かるようになっても、市場の売り子さんの言ってることがずっと理解できないでいました。この人たちもべたべたの方言をしゃべってたんですね。

さらにドイツ人の彼氏ができて(現夫)、彼の家族や親戚にクリスマスの時に初めて会った時も会話は非常に困難でした。本人たちは「方言(Platt)は話していない」と言ってましたが、それは「ベッタベタの方言は話していない」ということであって、訛りがないということではなかったのです。「でも、標準ドイツ語(Hochdeutsch)じゃないですよね?」なんて突っ込みを入れたら失礼になるので言いませんでしたけど、本人たちはまじめに Hochdeutsch を話しているつもりなんですね。dat (=das)、wat (=was)、et (=es) とか jut (=gut) などと言っているのに😅

彼ら彼女らは私相手には多少ゆっくり話そうと気を使ってくれたのですが、そのペースは最初の二言三言だけで、あとは容赦のない普通のスピードになってしまっていました。

訛り、スラング、速くていい加減な発音のオンパレード。これこそが本当の「日常会話」です。

普通の日本人が日常的にNHKのニュースアナウンサーのような話し方をしないのと一緒です。

なので、実は「日常会話」というのが一番難しく厄介なのではないかと思ってます。どこかでまとめて体系的に教えてもらえることができないので、現地で実際の人とのコミュニケーションの中で少しずつ覚えていくしかありません。最初は通じない・理解できないでびっくりしますが、しばらくその中に身を置いていればそのうちに慣れてきます。でも、そこに至るまでに結構辛い思いもしますね。


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閲覧数:268回1件のコメント

1 Comment


matsukura_ko1605
Jan 14, 2020

 日常会話程度、わかり易い説明でしたよ。  私、読解力は十分でした。教員になってから、32歳でスイス チューリッヒに留学してました。院生のころゲーテで1年、行く前、ドイツ人の神父に半年間は会話のみを。スイス到着後、公園でたむろしている老人に話しかけたですが、まるで会話にならなかったです。

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