今回は、自分のドイツ語レベルがどのくらいなのか分からないという方のために、ヨーロッパ言語共通参照枠(Gemeinsamer europäischer Referenzrahmen für Sprachen (GER))のレベル定義をご紹介します。
大雑把なレベル説明はウィキペディアにも記載されていますが、ちょっと抽象的で分かりにくい部分もありますので、さらに技能(聞く・読む・話す・書く)別のやや詳しい説明をKlett出版社から出ている『Gemeinsamer europäischer Referenzrahmen für Sprachen: lernen, lehren, beurteilen』2017年版を基にしてチェックリストを作成しました。
興味のある方はこちらの Google Spreadsheeds をチェックしてみてください。
技能別レベル説明は、状況・場面に分けたさらに詳細なスケール定義があるのですが、さすがに大量なので、それをチェックリストに作り替えて翻訳する時間は取れません。
外国語を勉強する際、ある一定の学習量を超えると進歩が見えにくくなり、できないことが目につきやすくなる傾向があると思います。
Friedrich von Schlegel フリートリヒ・フォン・シュレーゲル曰く:
Je mehr man schon weiß, je mehr hat man noch zu lernen. Mit dem Wissen nimmt das Nichtwissen in gleichem Grade zu oder vielmehr das Wissen des Nichtwissens.
知っていることが多いほど、まだ学ばなければならないことが多くなる。知識が増えるのと同じ度合いで無知が増える。あるいはもっと正確に言うと無知の知が増えるのだ。
このシュレーゲルの言葉を私は日々実感しています。学んでも学んでもキリがない。特に語学に関しては「学びきる」ということがありません。初級の時は「キリがない」と感じることはあまりないと思いますが、費やした学習時間も多い中級レベル以上になると「それでもなお知らないことの多さ」に気が付いて茫然とする機会も増えるのではないでしょうか。でもそれは知識が増えたことの証でもあるので、絶望することはありません。「無知の知 Wissen des Nichtswissens」が増えているというわけですね。
これは、最近の心理学でいう「自覚的な無能力 Bewusste Inkompetenz」に相当すると言えます。それに対して「無自覚の無能力 Unbewusste Inkompetenz」は自分ができない・知らないことすら知らない状態です。
また、能力 Kompetenz も自覚的か無自覚的かに分類されます。自分ができることを自覚している能力(Bewusste Kompetenz)と自覚していない能力(Unbewusste Kompetenz)ですね。確実に身についていることは、往々にして「当たり前化」してしまい、できることに無自覚になっています。なので、「自覚的な無能力 Bewusste Inkompetenz」に茫然としたときは、あえて「自覚していない能力 Unbewusste Kompetenz」を意識化すると落ち込まなくていいかもしれません。自分が「できて当たり前」と思っていることが実は当たり前でないことはよくあるものです。
自覚していない能力を意識化するのはそう簡単なことではないと思います。そこには「そんなことができても…」といった謙遜の意識も人によっては強く働くのではないでしょうか。
「上には上がいる」のは当たり前のことですが、他人と比べるのではなく、まずは客観的に自分ができることをリストアップするのに、上の技能別レベルのチェックリストがお役に立てれば幸いです。
サイト会員になると無料メルマガ「Mikakoのドイツ語通信」とブログの更新情報の通知をお受け取りになれます。ぜひご登録ください!
Comentários