2019年7月半ばに話題になっていたころに gooブログに書いた記事です。初のドイツ人、しかも女性(Ursula von der Leyen)が候補に挙げられていたので特にドイツでの注目度が高かったのです。
欧州委員会委員長(EU-Kommissionspräsident/in、Präsident/in der Europäischen Kommission)の選任の手順について欧州議会のサイトに説明がありましたので参考にしてください。
ニュースを聞いたり読んだりするとき、言葉の能力だけでなく、政治的制度の知識がないとよく理解できないことがあります。そういう時、日本語だけの資料で調べてもやっぱりよく分からないことってよくありますよね。
以下が欧州委員会委員長選任までの流れです。
Wie wird gewählt 選任手順
欧州理事会議長 (Präsident des Europäischen Rates) が欧州議会と可能な委員長候補について協議する。その際、欧州議会選挙の結果 (Ergebnisse der Europawahl) を考慮する。
審議の後に欧州理事会議長がEU各国首脳に候補者の提案をする。
各国首脳はその候補者について決議する(特定多数決 qualifizierte Mehrheit)。
欧州議会 (das Europäische Parlament) が委員会委員長を選任(単純多数決 einfache Mehrheit、少なくとも376票)
Aufgaben 役割
EUの執行機関である欧州委員会を代表する。
委員会の政策ガイドラインを作成する。
欧州委員会委員の総会を招集し、司会を務める。
EUの目標実現のために委員会の業務を指導する。
それまで防衛相だった Ursula von der Leyen(CDU)は、2019年7月16日に747票中必要な376票をわずかに上回る383票獲得して、欧州委員会委員長に初の女性として選任されました。前評判は芳しくなく、防衛相だったとはいえ、欧州政界では未知数の無名政治家に過ぎないのでもしかしたら必要票数を取れないのではないかと危ぶまれていましたが、彼女のフランス語・英語・ドイツ語を交えた情熱的な演説で、懐疑的だった欧州議員たちの何人かは賛成に回ったようですね。
動画はドイツ公営放送局 Phoenix のものです。ドイツ語でない演説部分はドイツ語の同時通訳で吹き替えられています。元の英語・フランス語の部分も残っているので慣れていない人には聞き取りにくいかもしれません。
選任されてから12月1日の就任まで通常よりも時間がかかりましたが、今後が楽しみですね。
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