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執筆者の写真Mikako Hayashi-Husel

「大変ですね/でしたね」「大変だった」はドイツ語でなんという?

更新日:2020年1月14日

「よろしくお願いします」や「お疲れ様です/でした」に比べると「大変ですね/でしたね」「大変だった」にはそれほど意味のバリエーションはありませんが、やはりニュアンスの違いによってドイツ語訳が変わります。

「大変ですね/でしたね」という場合の「大変」には大きく分けて「深刻・重大である」と「苦労している」の2つの意味があります。名詞としては「重大事件」を指し、副詞としては「普通を大きく超えている様子」を指しますが、形容動詞「大変です」の意味とは関係がないのでここでは除外します。

つまり、ドイツ語で「大変ですね」を言いたいときは、状況や事態が深刻・重大であるのか、人が苦労しているのかを区別する必要があります。もちろん深刻な事態や状況のただなかにいるから人が苦労するので、きっぱり両者を区切ることは難しいこともあると思いますが、どちらに話題の比重があるのか、さらに、単なる共感なのか、もっと同情を込めたいのかで多少言い回しが変わります。


深刻・重大な状況や事態に比重のある「大変ですね」

1) Oh, das ist ja schlimm! それは酷いですね。(相槌として使えます)

2) Oh, es tut mir leid, das zu hören. それを聞くのは遺憾です

3) Oh je, die Situation ist recht ernst, nicht? 事態は深刻なんですね。

4) Oh je, das ist ja echt eine ernste Situation! それは大変な状況ですね。

Oh や Oh je などの間投詞はお好みで選べます。Oh Gott! と言う人もいますが、私はクリスチャンではないので、Gott という言葉自体に抵抗を感じるため、自分では使いません。


深刻・重大な状況や事態に比重のある「大変でしたね」

1) + 2) も使えます。

5) Ich kann gut nachvollziehen, wie schlimm es war. どれだけ大変だったか想像に難くないです。

6) Wie schlimm es war, kann ich gut nachempfinden. どれだけ大変だったことか、よく分かりますよ。

これは、相手の近しい人が亡くなって、後からそれを聞いた時にも使えます。

ich kann gut nachvollziehen や  nachempfinden は相手の気持ちや苦労などが「よく分かるよ」という共感を表す一般的な表現です。相手の言ったことの全てを受けて、

Das kann ich gut nachvollziehen / nachempfinden. 

と言うと全体的な・総括的な共感を表せます。

7) Sie haben viel durchgemacht. / Du hast viel durchgemacht. 苦労したんですね / 苦労したんだね


苦労に比重のある「大変ですね」

2) も相槌として使えます。

8) Ach, Sie / du Armer (男性に対して)、Ach, Sie / du Arme (女性に対して) 「かわいそうに」という同情が込められています。

9) Ich bedauere dich / Sie! あなたを気の毒に思います

10) Das hört sich schlimm an.  酷いように聞こえる。どちらかというと「あら、大変ね」のような軽い共感を表します。イントネーションなどで感情を込めれば「まあ、大変ねえ!」のように同情を込めることもできます。

11) Sie haben ja richtig was zu tun! 本当にすることがたくさんあるのですね! (忙しくて大変という場合に)

12) Ich kann gut nachvollziehen, wie hart es ist / wie viel Arbeit es ist! どんなに大変か(ハードか)よく分かりますよ。

13) Mit den Kindern ist es nicht immer leicht, nicht (wahr)?  子供がいると大変よね。 

nicht immer leicht (簡単なことばかりではない)のかわりに hart を使うと、「本当に手のかかる子供がいて苦労している」というニュアンスになるので、ご近所のママさんとの世間話には不適切です。


苦労に比重のある「大変でしたね」

2), 7) ~ 10) も使えます。

14) Sie haben ja richtig was zu tun gehabt! 本当にすることがたくさんあったのですね!(忙しくて大変という場合に)

15) Ich kann gut nachvollziehen, wie hart es war / wie viel Arbeit es war! どんなに大変だった(ハードだった)かよく分かりますよ。


自分が「大変だ」という場合

16) Ich habe so viel zu tun. することがたくさんある。

17) Ich bin garade in Schwierigkeiten / einer schwierigen Lage / einer schwierigen Situation. 苦しい状況にある。

18) Ich mach' gerade viel durch. 苦労している


自分が「大変だった」という場合

19) Ich hatte so viel zu tun. することがたくさんあった

20) Ich war in Schwierigkeiten gewesen. 苦しい状況にあった

21) Ich habe viel durchgemacht. 苦労した

22) Mir ist Schlimmes passiert. 大変なことが(いろいろと)起こった

23) Hör mal, mir ist was Schlimmes passiert! ちょっと聞いてよ、大変だったんだよー(was は etwas  の口語形ですが、22)と違って具体的な一つの、盗難や事故など自分の身に起こった出来事を暗示するため、その was / etwas が何であったのかを語ることが期待されます。)

24) Hör mal, es war schlimm. ... これも 23) と同じ語り出しのフレーズですが、盗難や事故など自分の身に起こった出来事というよりは、災害などの大変な状況に遭遇してしまって「大変だった」というニュアンスです。

25) Das hat mich viel Mühe gekostet. それは大変な手間がかかった

ここに示したドイツ語訳はあくまでも例です。日本語の「大変ですね/でしたね」「大変だった」は定番の言い方になってますが、ドイツ語にはそのような定番はないため、人によって、状況によって様々な表現が可能です。その中でも比較的頻度の高いものを例としてここに挙げました。schlimm や hart を使うことが多いですが、それが適切でない状況でも日本語では「大変ですね」と言ってることもあるのでなかなか難しいですね。


日本語の使用状況や込められたニュアンスについては私が主催するFacebookのドイツ語グループのメンバーの方のご意見を参考にさせていただきました。



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