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メルケル独首相、5月30日(聖霊降臨祭前)のポッドキャスト

更新日:2020年6月3日

コロナ対策としてのロックダウンや接触制限などの様々な措置が徐々に解除されていく中で、3月時点での一致団結して国難を乗り越えようとする機運は薄れ、早急な正常化回復を求める人々と、まだまだ危険は去っていないため慎重であるべきだとする人々との間に亀裂が生じ始めています。

良い天気と久々の自由に人々が慎重さを忘れて再び感染爆発が起こらないよう、メルケル独首相は、5月30日に聖霊降臨祭の長い週末を前にポッドキャストでドイツに住む人々に「Weiter wachsam und mutig bleiben 引き続き警戒を怠らず勇気をもって」と呼びかけました。



数日遅れてしまいましたが、このスピーチをざっと翻訳して、ここにご紹介したいと思います。

原文(1033語)はこちら


【試訳】

皆さま、こんにちは

わが国ドイツで最初のコロナ患者が確認されてからほぼ4か月になります。4か月、私たちは今やウイルスと共に生きています。4か月、我が国と我が国の経済および私たちの市民意識に重い試練が与えられました。

今、あなた方に「これで終わりです。私たちは乗り越えたのです」と言えたらどんなにいいでしょう。けれども、効果のある薬やワクチンない中で、まだ誰もそのようなことをまじめに言うことはできません。

私たちが言えることは、そして私はそのことに大変感謝しておりますが、次のことです。私たちは今までのところ、この試練によく対処してきました。私たちみんなが共に、我が国に住む圧倒的多数の方々が、慎重さ、理性と他者に対する責任を指針として行動しました。それによって、私たちはこの4か月で多くのことを成し遂げました。言い換えれば、私たちは多くのことを回避したということです。私たちみんなの功績とはすなわち、我が国で幸いにも起らなかったことにあります。

私たちにとって重要なことは、最初から我が国の医療体制に過剰な負担をかけないことであり、そしてそれは成功しました。どの患者もしかるべき適切な治療を受けられるようにすること。これも今日までのところ達成しています。

今、大規模な悲劇が起こらなかったという理由から、そもそもその危険性もさほど大きくなかったのではと考える方々がいます。なんという考え違いでしょう!コロナ禍に一層ひどく見舞われた隣国の状況を鑑みれば、何が起こり得たか分かります。

パンデミック勃発後の最初の4か月が経過した今日、当初の急激な感染増加曲線は平坦なものとなりました。日々の新規感染者数は、対応可能なレベルです。各地の保健局は、局地的感染爆発に対応し、感染経路を突き止めて遮断するために大変な尽力をしています。

つまり、ロバート・コッホ研究所が日々公表する新しい数字が私たちに希望をもたらしているのにはそれ相応の理由があるということです。それでも私は、これらの数字の後ろに人の運命があること、往々にして病気との過酷な戦いであり、また、残念ながらこれまで8500人以上の死者に対する悲しみがあることを常に念頭に置いています。

私があなた方に話している今この瞬間にも、多くの病院でコロナのせいで生死の間をさまよう家族を失ってしまうのではないかと心配する方々がいます。統計は、パンデミックがどのように展開しているのかを理解するために重要です。しかし、決して忘れてはならないのは、それが常に生きた人間の話だということです。

今後、パンデミックの第二段階ではどうなるのでしょうか。

とりあえず多くの分野で公的生活および経済活動が再び動き始めたことを嬉しく思っています。私は、感染爆発を再び起こすことなく、さらなるステップを多く踏み出せることを願っています。私たちが勇気をもって、かつ警戒を怠らずにいれば、それも可能でしょう。

いずれにせよ、店舗、オフィス、レストラン、文化施設、学校、保育園、礼拝などなどのために衛生保護コンセプトがどれほど慎重に、ほとんど愛情深く策定されているか、素晴らしい限りです。仕事、買い物、レジャーと健康保護、そのどちらもが可能であるように尽力しているすべての方々に感謝します。

多くの方々にとってこのパンデミックの数か月、生きることがとても難しくなったことも、私は承知しています。特にご両親と子供たちのことを思っています。保育園や学校が完全に再開できない限り、多くのことを家庭で行わなければなりません。つまり、オンライン授業、ご両親の仕事、家族の生活です。それはすべての人の負担になります。 また、多くの方々にとって、今後の経済的展望が見えないことも承知しています。たとえば、接客業や旅行者、大きなメッセ、あるいはまた文化分野で仕事をしている方々の心配事にはまだ終わりが見えていません。 連邦政府はパンデミックがわが国にもたらした重大な経済的打撃に対して迅速に巨大な支援プログラムで対応しました。これによって3月以降、企業をサポートし、自営業者を支援し、何百万人の職場を維持することができました。 もちろんこうした緊急支援で事足りるわけではありません。来週、経済を立て直し、成長を促進するための景気対策プログラムを決定する予定です。それによって、イノベーションと持続可能な経済活動の双方を推進し、将来有望な分野でも我が国が力を発揮できるような対策を講じられるかどうかが腕の見せ所となるでしょう。 ヨーロッパでも同様の課題に直面しています。「共に。ヨーロッパを立て直す。」このモットーの下に、我が国は、7月より欧州連合理事会議長国を務めます。ここ数か月で、私たちは、ヨーロッパのパートナー国との連帯の強さを一層深く感じることができました。 一時的に国境検問を厳しくすることが必要となり、それは痛みを伴いました。域内市場を再び活性化すること、パンデミックによって甚大な被害を被った加盟国に連帯的支援をすること、こうした支援は、共に危機を脱するという我が国自身の国益でもあるため、ドイツは下半期に特別な責任を負うこととなります。この目的のために、私は全力を尽くすつもりです。 今、聖霊降臨祭を前にして、復活祭前に皆さんに語り掛けたことを考えずにはいられません。今年の復活祭は、なんと奇妙で、痛みを伴うものであったことでしょう。礼拝も、小旅行や大旅行も、親戚訪問も不可能でした。 それに比べれば、私たちは大きく前進しました。多くのことがまた可能になったのは素晴らしいことです。希望者は、歌唱なしとはいえ、聖霊降臨祭の礼拝に行くことができます。また、お互いに会うことが可能です。制限付きで、距離を取らなければならないのですけれども。 あなた方にお願いします。今また可能になったことすべてを喜び、それを活用しましょう。けれども、その際に思いやりを持って、他の人々の保護の必要性を尊重しましょう。 社会的距離を保ち、義務付けられているところではマスクを着用し、手洗いをすること。これらすべてが、私たちがまた自由に行動できるための前提条件です。それはまた、病弱な人々、あまり丈夫でない人々、お年寄りの方々にとっても公的生活をより安全なものとします。 ここ数か月の、常に他の人のことを考えて思いやるという経験を踏まえて、これを実現できれば大したものです。そうすることが、まだウイルスと共に生きることになるであろう次の数か月、私たちの助けとなることでしょう。


この新型ウイルスが夏にどのように発展するか、また、秋にはどうなるか。そのようなことは科学も予言することはできません。当然できません。ただ1つだけ確かに分かっていることがあります。それは、ここ4か月そうであったように、危険に備え、リスク回避し、私たち自身を含む共同体を悲惨な事態から守ること、それは大部分私たち自身の手中にあります。私たち一人一人の手の中に。

では、皆さま、ご自愛ください。そしてご家族やご友人を守ってください。願わくば素敵な聖霊降臨祭の週末をお過ごしください。心よりご挨拶申し上げます。

【試訳終了】









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