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色彩豊かに話そう!1 Grün 緑

更新日:2020年1月14日

基本的に Grün ist die Hoffnung (緑は希望)というように、緑色は新緑の希望に満ちた肯定的なイメージがあります。


grünes Licht für etwas geben ~のために緑の光を与える→~にゴーサインを出す、~を承認する。 これはもちろん信号機のカラーロジックに由来します。緑色の信号は「入って良し」「通って良し」のサインです。

alles im grünen Bereich すべて緑色の範囲にある→すべて問題なし。 これも技術的な分野で生まれた表現で、「緑=問題なし、黄=警戒、赤=危険」というカラーロジックに由来します。日本でも同じカラーロジックを使っていると思いますが。

auf einen grünen Zweig kommen 緑色の枝の上に来る→何かを成し遂げる、成功する

これの否定形

auf keinen grünen Zweig kommen は「何も成し遂げない、成功していない」という意味になります。 これはキリスト教以前の土着信仰の慣習に由来した慣用句です。常緑樹の枝は豊穣のシンボルであり、いい精霊が宿ると信じられていました。このため、土地を売るまたは譲る時にこれまでの所有者がツゲやイチイなどの常緑樹の枝を新しい所有者に渡す風習があったそうです。この枝と共に、いい精霊が家に入って、住む人に幸運をもたらすと信じられていたのだとか。


緑のポジティブさを否定したものが以下の慣用句です。

sich nicht grün sein お互いに対して緑ではない→お互いによく思っていない、好意的ではない

jemandem nicht grün sein 誰かをよく思っていない、好意的ではない


緑=非現実的

しかし、nicht で否定しなくても grün には否定的な意味もあります。

am grünen Tisch / vom grünen Tisch aus planen / entscheiden  緑色のテーブルで/緑色のテーブルから計画する/決定する→(実地の経験なしに)机上の知識だけで計画する/決定する。 Dudenの説明によると、これは昔、交渉テーブルが緑色のビロードまたは皮革で覆われることが多かったことからきているそうです。ドイツ語版Wikipediaによると、「緑色」は中立の色であり、am grünen Tisch とは和平交渉のために中立の土地に置かれたテーブルのことだそうです。これはもちろん野外で行われたました。

auf der grünen Wiese  郊外で、空地で。 ドイツの郊外は牧草地が多いので、この慣用句は字義通りじゃないかとも思いますが 😅「空地」を意味する場合は比喩的ですね。これは都市計画の専門用語で、商業・住宅予定地を指します。

der Grüne-Wiese-Ansatz 現状無視のアプローチ。 広い空地に建物を建設するのは、様々な建物がすでに存在するところに新しく何かを建てるより楽なので、現状を無視した、非現実的な計画などを皮肉を込めてこのように言います。


緑=未熟

noch grün hinter den Ohren sein 耳の後ろがまだ緑色である→未熟である これは本来

noch feucht hinter den Ohren sein 耳の後ろがまだ濡れている

という慣用句だったのを、熟していない果物が緑色であることが多いという連想から変化したようです。

生まれたばかりの赤ちゃんを指しており、よく耳の後ろを拭き忘れたことからこの表現が生まれたそうです。 特殊な例として Ach du grüne Neune! 緑の9(ドイツ式トランプのスペード)→ああ、びっくりした! が挙げられます。これはもう古臭い言い方で、現在ではおじいちゃん、おばあちゃんの世代しか使わなくなっています。


これは、タロット占いからきているという説が有力です。スペードの9は大きな不幸、病気、財産の喪失などの良くないものと結びつけられています。中世では年市でタロット占いも提供され、訪れた人たちがよく未来を占ってもらったそうですが、そこでスペードの9が出て、「スペードの9だ!」と叫んだのがこの表現の始まりだったようです。 もう一つのよく知られている俗説は、19世紀にベルリンのブルーメン通り9番地にあった Conventgarten という劇場・ダンスホールがあり、その表玄関が Grüner Weg にあったため、悪評が広まるとともに住民から「Grüne Neune」の軽蔑的に呼ばれるようになったことに由来する、というものですが、その軽蔑的な呼び名と驚きの表現がどうつながるのかいまいち理解に苦しみます。タロット説はあまり一般には知られてはいないそうですが、私はそちらの方が説得力があると思います。 緑と青 grün und blau / grün und gelb この2色の組み合わせでいくつかの慣用表現がありますが、どうやら派生関係にあるようです。 jemanden grün und blau / grün und gelb schlagen 誰かを(あざのできるほど)さんざん殴る これは殴られた後にできる【青あざ】からきている表現ですので、割と直接的な比喩と言えます。 sich grün und blau / grün und gelb ärgern かんかんに怒る これは本来 sich schwarz ärgern であるのを、上の表現とミックスして生まれた表現であるようです。 Mir wird grün und blau / grün und gelb vor Augen 目の前が緑と青/緑と黄いろになる→ぎょっとした、肝をつぶした この表現も、本来は Mir wird schwarz vor Augen であるのを、jemanden grün und blau schlagen とミックスして生まれた表現であるようです。 小学館 独和大辞典には「jm. wird grün und blau 〈grün und gelb〉 vor den Augen」と記載されていますが、定冠詞のない「vor Augen」が正しい言い方です。 また、その意味として「(気分が悪くて・失神しかけて)…は目がくらくらする」とありますが、それは Mir wird schwarz vor Augen の方の意味で、www.redensarten-index.de では「jemandem wird es (ganz) grün und blau vor Augen 」の意味は「jemand ist entsetzt / bestürzt」とあるので、こちらの方の意味を採用しました。 いずれにせよ schwarz を使った表現ほど一般的ではないようです。 Grün und Blau schmückt die Sau 緑と青で飾るのは豚→服の色の組み合わせが悪い この格言は20世紀になって生まれたそうで、比較的新しいものです。しかしそれ以前も緑と青の組み合わせがよくないと知られていたようで、 「Blau und Grün tragen die Narren zu Wien(青と緑はウィーンの道化たちが着る)」 と Wander, K.-F. (Hrsg.): Deutsches Sprichwörter-Lexikon に記載されています。


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