色彩豊かに話そう!2 Blau 青

最終更新: 1月13日

今回は Blau 青を使った表現をご紹介します。

私のダンナは青い服が嫌いで、「Blau ist keine Farbe, sondern ein Zustand(青は色ではない。1つの状態である)」などと言います。なぜかというと

blau sein 「青である」が「besoffen/betrunken sein 酔っぱらっている」を意味しているからです。

Focus Onlineの2017/10/10の記事によると、この表現は昔の染色工程から来ているそうです。Färberwaid ホソバタイセイで青く染色するには太陽と熱い気温そしてたくさんアルコールを飲んだ男性の尿が必要でした。もちろんアルコールを直接用いてもいいのですが、これだとコストが高くなるので、アルコールを飲んだ男性という回り道をしたそうです。そのために街の酒場から尿を集めてきたそうです。

ホソバタイセイを桶に入れ、アルコールの代わりに尿で浸して日向に置き、時々かき混ぜるというのがその工程でした。染色職人はこのため、一日中ビールを飲んでは桶の中へ放尿し、時々それをかき混ぜながら青く変色するのを待ったことから「青イコール酔っ払い」という連想が生まれたそうです。

そのようにしてできた青で染色された服などあまり着たいとは思えませんね😅


blaumachen / blau machen 「青くする」→「さぼる」も青色を作る工程から生まれたとする説(色ができるまで飲んだくれて待っていればいいので)と、手工業などにおいて月曜日は半日しか働かない、Blauer Montag(青い月曜日)と呼ばれた風習から来ているという説と、もう一つイディッシュ語の belo(~なしで)が Rotwelsch ロートヴェルシュ語と呼ばれた乞食や行商人、犯罪者グループによって使われた言葉を介して入ってきたとする説があります(ドイツ語Wikipedia、Blauer Montagの記事参照)。個人的には青色染色起源が一番説得力があると思います。


Blauer Montag 青い月曜日という呼称は、現在では半日ではなく仕事のない月曜日を指します。その起源は、教会が断食期間中の月曜日に青または紫色の布で飾り付けをしたからだと言われています(ドイツ語Wikipedia、Blauer Montagの記事参照)。


sein blaues Wunder erleben 「青い奇跡を体験する」→「不快な驚きを体験する(想定外のひどい目に合う)」。この慣用句も起源は不確かで複数の説があります。そのうちの1つはやはり布染色にかかわるもので、赤や黄の色で染めた布を干して空気にさらしておくと酸化して青になる不思議を blaues Wunder と呼んだことから来ているとする説、青という色が16世紀初頭では「嘘、詐欺」の象徴であったことから来ているという説があるようです(https://de.wiktionary.org/wiki/sein_blaues_Wunder_erleben 参照)。

そもそも青が嘘や詐欺の象徴となったのは、染色の過程で意図せずに布が青くなってしまったという不快な驚きに由来していると考えられなくもないので、表現の正確な成立過程は再構できないものの、両説は全く無関係ではないと言えるのではないでしょうか。

ちなみにドレスデンには非公式に Blaues Wunder と呼ばれる橋があります。



正式名称を Loschwitzer Brücke ロシュヴィッツ橋と言い、1893年に完成したエルベ川にかかる全長280メートルの橋柱のない「固定された吊り橋」です。当時の建設技術では「奇跡」と考えられていたことと、その青い塗装に由来します。上述の慣用句の否定的な意味との連想は、ここではありません。


逆にその「嘘、詐欺」の意味をダイレクトに表す慣用句には、

das Blaue vom Himmel (herunter) lügen 空の青色(を下ろしてきた)ように大嘘ををつく

というのがあります。青は青でも大空に広がる青=大きな嘘という発想です。

das Blaue vom Himmel versprechen も同じ比喩で、「できもしないことを約束する」ことを意味します。

ins Blaue hinein 「青の中へ」は「あてずっぽうに、あてもなく」という意味で使われます。

ins Blaue schießen / einen Schuss ins Blaue machen 「青の中へ打ち込む」→「あてずっぽうを言う、当て推量を言う」

ein Schuss ins Blaue sein 「あてずっぽうである」

この ins Blaue を使った表現では、先述の嘘や詐欺の象徴とは違い、青は「不確かなもの」を象徴しています。青空を見上げてどこかに的が絞ることができないことから来ています。

ins Blaue fahren / eine Fahrt ins Blaue machen 「青の中へドライブする」→「当てもなくドライブ(運転)する」も同じ比喩グループに属しています。

青は嘘や詐欺の象徴なのに、Blaue Augen 「青い目」はなぜか忠誠や誠実さを象徴します。しかし、同時に blauäugig sein とは「天真爛漫、未熟ゆえの浅はかさ、おめでたさ」を表します。これは、乳幼児が皆ある一定の年齢まで眼球の虹彩に色素がないことから青い目であることに由来するようです(https://www.redensarten.net/blauaeugig/ 参照)。

Blaues Blut / Blaublut 「青い血」はヨーロッパ言語ではみな「貴族の血」を表します。スペインの Sangre azul が最も古く、その呼称がヨーロッパ諸国に広がったと見られています。スペインの Sangre azul は、貴族が西ゴート族系の白人で、こめかみなどの血管が日にあたると青く浮き出ることに由来します。肌が白いほど血管がより青く浮き出るのは自然の摂理なのですが、イベリア半島では被支配層にはアラブ系も多く、肌の色が濃かったため、支配層の肌の白さ・血管の青さとの対比がよりくっきり目に見えたわけです。中央ヨーロッパや北欧では被支配層も白人なのでそういう対比は本来ないのですが、スペイン語の Sangre azul が他のヨーロッパ諸国(の貴族)にも伝わったと言われています。

(例えば https://de.wikipedia.org/wiki/Blaues_Blut 参照)。


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