コロナウイルス対策についてのメルケル独首相の演説全文

最終更新: 6月1日

コロナウイルス対策としてさまざまな個人の行動を大幅に制限する厳しい措置が取られることになったため、昨日(2020年3月18日)メルケル独首相は国民に理解と協力を求める演説をしました。




演説全文を掲載していたのは翻訳時点では Kölner Stadt-Anzeiger "Merkels Corona-Ansprache im Wortlaut „Nur Abstand ist der Ausdruck von Fürsorge" のみで、首相公式サイトには掲載されていませんでした。

(2020/03/20更新、ようやく首相公式サイトで演説全文のテキストが公開されました。興味のある方はこちらをご覧ください)

(2020/03/21更新、原文の文法的解説を作成しました。B(中級)レベル向けです。興味のある方はこちらをご覧ください)


この演説全文をざっとですが日本語訳しました。

(2020/04/16更新、翻訳文を若干修正しました。)


【試訳】

親愛なるドイツにお住いの皆様*、

コロナウイルスは現在わが国の生活を劇的に変化させています。私たちが考える日常や公的生活、社会的な付き合い ― こうしたものすべてがかつてないほど試されています。

何百万人という方々が出勤できず、子どもたちは学校あるいはまた保育所に行けず、劇場や映画館やお店は閉まっています。

そして何よりも困難なことはおそらく、いつもなら当たり前の触れ合いがなくなっているということでしょう。もちろんこのような状況で私たちはみな、これからどうなるのか疑問や心配事でいっぱいです。

私は今日このような通常とは違った(TV演説という)方法で皆様に話しかけています。

それは、この状況で連邦首相としての私を、そして連邦政府の同僚たちを何が導いているのかを皆様にお伝えしたいからです。

開かれた民主主義に必要なことは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。

もし、ドイツにお住まいの皆さんがこの課題を自分の課題として理解すれば、私たちはこれを乗り越えられると固く信じています。このため次のことを言わせてください。

事態は深刻です。

あなたも真剣に考えてください。

東西ドイツ統一以来、いいえ、第二次世界大戦以来、これほど市民による一致団結した行動が重要になるような事態がわが国に降りかかってきたことはありませんでした。

私はここで、現在のエピデミック(伝染病)の状況、連邦政府および各省庁がわが国のすべての人を守り、経済的、社会的、文化的な損害を押さえるための様々な措置を説明したいと思います。しかし、私は、あなたがた一人一人が必要とされている理由と、一人一人がどのような貢献をできるかについてもお伝えしたいと思います。


エピデミックについてですが、私がここで言うことはすべて、連邦政府とロバート・コッホ研究所の専門家やその他の学者およびウイルス学者との継続審議から得られた所見です。世界中で懸命に研究が進められてはいますが、コロナウイルスに対する治療法もワクチンもまだありません。

この状況が続く限り、唯一できることは、ウイルスの拡散スピードを緩和し、数か月にわたって引き延ばすことで時間を稼ぐことです。

これが私たちのすべての行動の指針です。それは、研究者がクスリとワクチンを開発するための時間です。また、発症した人ができる限りベストな条件で治療を受けられるようにするための時間でもあります。